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昔、萩本欽一さんの番組のスタッフをしていた方から聞いた、興味深い話を紹介しよう。鈞ちゃんの番組は、その頃視聴者の投稿に基づいたコントを放送することが多かった。視聴者が投稿してきたアイデアを、鈞ちゃんやその他の出演者がコントとして演じるのである(『欽ちゃんのドンとやってみよう!』などがその代表である)。
そして、そうした番組の最後には、必ず視聴者へ投稿の呼びかけをしていた。その際に、「テーマやシチュエーションを限定」して応募を呼びかける場合と、その逆に、「何でもいいので送ってくれ」と呼びかける場合とがあったそうなのだが、投稿数は圧倒的に「テーマやシチュエーションを限定」した場合の方が多かったのだそうである。どうしてかというと、テーマやシチュエーションを限定されると、そこで方向性や思考の足がかりを得られるため、視聴者は発想を広げやすいのだそうである。その逆に何も限定されないと、どうしよいか分からなくなってしまい、かえって発想を広げられなくなるというのだ。
このことから分かるのは、真の自由とは、ある一定の枠組みや規制の中でこそ育まれるもので、乙武さんの言うように「自由に発言させ、自由に考え」ていいと子供たちに言ってしまうと、かえって彼らを困らせてしまうということだ。考え方の方向性や足がかりを得られないから、かえって自由に発言できなくなったり、自由に考えられなくなるのである。