やる気のない人にどうやってやる気をもたせるか
梅田 やる気のない人にどうやってやる気をもたせればいいのか.
斎藤 モチベーションを上げるには,「あこがれ」と「習熟」が2本柱と思っています.「あこがれ」というのは,これがすばらしいんだとあおられて,その気になってやってみること.「習熟」というのは,「練習したらできた」というような限定的な成功体験.すべてにおいて成功するのは難しいのですが,限定的な成功体験があると,「できるって面白い」と思える.
斎藤 突破体験のようなものがあって,自分の限界よりもう少しできてしまう.それが1人では難しいのだけれど,みんなでやればできるし,僕がいる空間であれば必ず達成させてあげられるという思い込みがあります.
梅田 だから,暗誦や音読など,全員が突破体験できるものを型にして,ということをおやりになっている.
斎藤 基本的なことも提案しているのですが,ハイレベルのものをこなしたということも自信になると思っているので,ゲーテや小林秀雄やドストエフスキーも小学生にぶつけるんですね.一番レベルが高いというものでもできるんだということを伝える.あるいは,高校の文系の数学の終わりが微分・積分だから,中学生に微分・積分を教えて,一応理解させることができると,自信が生まれる.そういう,限界を突破した果てにあるものを見せることによって,あこがれとともに,「ああ,このくらいはいけそうだ」という,ある種の構想力をもてるのです.
できる人というのは,「このくらいできればいいんだ」ということから逆算してやるので,落ち着いた努力ができるのですが,できないといわれている人の多くは五里霧中で,いくらやっても努力が無駄な気がしてしまってできないということがあります.要は,限定的でも成功体験を共有することによって,落ち着いて上達のプロセスを構想できるようにする.そのときに,「熱」は必要です.リーダーに熱がないと,不思議と化学反応は起きない.
p84-88:「あこがれ」と「習熟」より