やる気がないと今のウェブでは学ばない
梅田 能動的に学ぶ意志のある人たちには、強制力はあまり必要ないかもしれません。けれども、教育全体を考えた時には、意志の力が弱くてずるずるいってしまう人にも、オープンエデュケーション(ウェブで学ぶこと)が有益な道具となるように、いろいろな工夫が必要になってくるでしょう。
飯吉 20年以上前の話になりますが、「『教育メディアの特性』と『学習の能動性と受動性』の関係を調べる」という研究をしていたことがあります。研究の結論は、「ハイパーメディアの教材を使った学習は、万人にとって効果が高いものとは言えない」というものでした。たとえば、「学ぶ内容に興味がない人にとっては、受動的なメディアである映画やテレビを同じ時間観るだけの方が、学習効果が高い」「学ぶ内容について、あまり知識を持ってない人は、ハイパーメディアでは学習を進めにくい」「受動的な気質の人も、ハイパーメディアを使った学習にはあまり向かない」というようなことがわかりました。つまり、知的好奇心ややる気がある人には、ハイパーメディアのような双方向メディアが向いていて、そうでない人は、映画やテレビなどの一方向メディアを使った方が、よく学んだり知的刺激を受けたりできる。
梅田 とても納得できる研究結果ですね。ただコンテンツがウェブ上にたくさんあるだけでは、よほど意欲がないと、人間は弱いから、楽しいことをして時間が過ぎていってしまいます。
p182-186 ウェブと能動性